TOPICS
企業会計基準委員会は平成20年6月30日「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準(案)」等を公表しました。
賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準(案)
会計基準の国際的な均質性が進む中、国際財務報告基準における投資不動産の時価評価差額の取り扱いが課題となっていましたが、 企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成20年6月30日付で「賃
貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第31号)及び「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準の適用指針(案)」(企業会計基準適用指針公開草案第30号)を公表しました。本公開草案は、会計基準の国際的なコンバージェンスに向けた取組みとしてASBJで検討されてきたものであり、国際財務基準における投資不動産を賃貸等不動産と定義し、差額の損益処理を見送ったものの、時価を開示することを求めています。そして不動産の時価開示等について、定義・範囲の明確化及び時価の算定方法等について定めています。
「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第31号)及び「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準の適用指針(案)」(企業会計基準適用指針公開草案第30号)
◆適用範囲(会計基準第3項)
・賃貸等不動産を保有する企業に適用
・連結財務諸表を作成している場合は個別財務諸表での注記は不要
◆賃貸等不動産の定義・範囲(会計基準第4項(2)、第5〜7項)
・時価等の開示対象となる賃貸等不動産とは:
棚卸資産に分類されている不動産以外のものであって、賃貸収益又はキャピタル・ゲインの獲得を目的として保有されている不動産
(注)
連結の観点から判断するため、例えば、連結会社間で賃貸されている不動産は、連結貸借対照表上、賃貸等不動産には該当しないこととなる。
・賃貸等不動産の範囲
賃貸等不動産に含まれるもの
・投資不動産として区分されている不動産
・将来の使用が見込まれていない遊休不動産
・上記以外で賃貸されている不動産
・ 将来において賃貸等不動産として使用する予定で開発中の不動産、継続して賃貸等不動産として使用される予定で再開発中の不動産
賃貸等不動産に含まれないもの
・棚卸資産に分類されている不動産
・ 物品の製造や販売、サービスの提供、経営管理に使用されている不動産
賃貸不動産を保有する企業に平成22年3月31日以後終了する事業年度から適用となります(早期適用可)。
不動産証券化と不動産鑑定評価
わが国における昨今の不動産証券化の進展には目を見張るものがあり、その市場規模は大幅に拡大し、不動産取引市場全体においても証券化取引の占める割合が大きくなり、同時に対象不動産の種類は多様化し、対象地域も広がってきた。
わが国の証券化の主要なスキームは、J-REITやプライベートファンドなどであるが、その構造的特性として証券の発行体とその不動産の運営体の分離とスポンサー企業の存在がある。それ故に、不動産鑑定評価は、取引価格面での公正性を第三者として客観的に評価することにより、利益相反を回避し、不動産証券化市場全体の信頼性を確保する上で、極めて重要な役割を担うものとなっており、不動産証券化取引の中で、そのスキーム組成の基礎条件の一つとして、他の専門家によるサービスとともに不動産投資市場の基盤を支えるものとして位置づけられてきた。
したがって、証券化対象となる不動産の鑑定評価業務が、鑑定評価依頼当事者だけでなく広範な投資家等に重大な影響を及ぼすことを十分に理解することが必要であり、不動産鑑定士は、社会的信頼性の確保を認識して、鑑定評価を行うことがますます要請されている。
時価会計と鑑定評価
我が国が右肩上がりの経済の時代には、有利な資産運用の手段として不動産を所有していました。しかしながらバブル崩壊後状況は大きく変わってきました。景気が長く低迷している中で企業は現在も構造改革を迫られています。金融機関の融資姿勢も変化してきており、企業は財務体質の改善、特に資産の圧縮が要請されています。 このような流れの中で不動産の証券化が出てきたのです。このことは、企業の資産圧縮の流れと金融機関の融資の消極性が企業の資金調達の多様化したニーズになったのです。
一方企業会計においても時価評価の波は次から次へ押し寄せて、とどまるところを知りません。
企業が保有する金融商品には、2001年3月期から導入されます。
ゼネコン・不動産会社・商社などが保有する販売用不動産などについては、2001年3月期より強制評価減が義務付けられます。
そして一般企業の固定資産に内在する損失の処理を要求する減損会計が2003年3月期にも導入されようとしています。
企業がこれから作成するバランスシートは、まさに時価会計一色の様相を呈してきています。
その理由としては
バランスシートに対する信頼性の回復
資産の含み損の増大は取得原価主義会計の欠点となり、バランスシートが企業の実体を表せなくなってきているということです。
グローバルスタンダードと時価評価
国際的には、時価評価を適用したバランスシートを作成することが常識になりつつあります。国際会計基準は日本企業の会計基準として強制されるものではありませんが、日本企業が海外から資金を調達する際や、海外の投資家が日本市場で投資する際に日本独自の会計基準に基づいた財務諸表では理解が得られなくなりつつあります。
経営責任厳密化の流れ
企業の株主・投資家・消費者などの利害関係者の企業を見る目が厳しくなってきています。企業の実態を知るための情報開示や資金調達手段が従来の銀行による間接金融から直接金融へのシフトなどの流れは看過できなくなってきています。
このような会計ビッグバンの歴史の流れの中で、不動産と時価評価の関係が重要になってきます。 ゼネコン等が棚卸資産として保有する販売用不動産の強制評価減や企業が固定資産として保有する土地・建物の減損会計において、私どもは適切に時価が把握できるようにサポートする体制にあります
担保価値保全のための建物登記の適格性
債権保全のための担保不動産に未登記建物があると、第三者による権利の設定が可能であり、債権が保全されないことになります。
このため融資担当者としては、未登記建物の存否を確認し、存在すれば建物表示登記→所有権保存登記→抵当権設定登記等の手順をとることとなります。 しかしながら現実には様々な工作物があり登記の適格性に迷う場合も少なくありません。
そこで建物認定の基準が不動産登記法上どのようになっているかを判例もまじえてここでは検討してみます。
1.法律上の建物認定基準
法律上は次のように定められています。(不動産登記事務取扱手続準則第136条)
1.建物とは、屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的に供しうる状態にあるものをいう。
2.建物であるかどうか定め難い建造物については、次の例示から類推し、その利用状況等を勘案して判定しなければならない。
−建物として取り扱うもの−
イ.停車場の乗降場及び荷物積卸場、ただし、上屋を有する部分に限る。
ロ.野球場、競馬場の観覧席、ただし、屋根を有する部分に限る。
ハ.ガード下を利用して築造した店舗、倉庫等の建造物。
ニ.地下停車場、地下駐車場及び地下街の建造物
ホ.園芸、農耕用の温床施設、ただし半永久的な建造物と認められるものに限る
−建物として取り扱わないもの−
イ.瓦斯タンク、石油タンク、給水タンク
ロ.機械上に建設した建造物、ただし、地上に基脚を有し、又は支柱を施したものを除く。
ハ.浮き船に利用したもの、ただし、固定しているものを除く。
ニ.アーケイド付街路(公衆用道路上に屋根覆を施した部分)。
ホ.容易に運搬し得る切符売場、入場券売場等。
上記のように建物の認定基準が定められていますが、実際は様々な例があるので、更に次のような判例・先例が参考にされています。
2.判例・先例による建物の登記能力
−登記能力のある建物−
土地に定着した一個の建造物で、屋根・瓦を葺き、荒壁を塗り、床板が半分程度にてできているものは、既に動産の域を出て不動産の部類に属する。
高架線のプラットホーム下に設けられた印刷工場。
鉄筋コンクリート造建物の焼け残り部分は社会通念上建物として取り扱われる。
セメント貯蔵用サイロは、建物として取り扱われる。
コンクリート基礎上に据え付けられた「農村集団自動電話交換所」は、建物として取り扱われる。
登記の対象となる建物は、定着性、構築性、外気分断性、用途性の4要件を具備していることを要する。
−登記能力のない建造物−
橋梁は、その性質上建物として取り扱われない。
石油タンク。
軽量鉄骨造で、その屋根及び壁の仕上げがビニール張りのいわゆるビニールハウスは、その基礎が布コンクリート、モルタル仕上げで、これに軽量鉄骨の柱部分が埋め込まれていても、建物としては扱われない。
いわゆるプレハブ式建物と呼称される建造物は、その土台を土地に永続的に付着した状態で一定の用途に供されるものであると取引観念上も認め得るような特段の事情が認められる場合以外は建物に該当しない。
デパート等に展示されている勉強室等の建造物は、基礎をボルトで固定している等の構造でなければ、建物として扱われない。
建物登記手続きの流れ
不動産登記法第93条は、「建物ヲ新築シタル時」は、1ヶ月以内に表示の登記を申請すべきものとしています。
「建物ヲ新築シタル時」には、新規建築の外、「改築」、「再築」(取壊建物の材料を用いて建築)、「移築」も含まれます。
この場合の通常の「建物表示登記」を申請するに当たって必要とされる添付書類は
| ・申請書副本 | ・建物図面 |
| ・各階平面図 | ・所有権証明書 |
| ・住所証明書 | ・代理権限証書 |
ですが、実際に実務に当たって担保提供者に用意してもらうのは、所有権証明書、住所証明書、代理権限証書であり、その他の作業は土地家屋調査士が処理してくれることになっています。
具体的に実務上必要とされている書類の内容を述べると次の通りです。
1.所有権証明書
1.主たる証明書
| 1.建築確認通知書及び検査済証 | 建築基準法6条及び7条の規定によるもの |
| 2.建築確認通知書 | 建築基準法6条の規定によるもの |
| 3.工事完了引渡証明書(注1) | 工事人の出す証明書 |
| 4.工事代金領収書 | |
| 5.建築工事請負契約書 | |
| 6.固定資産税納付証明書 | 過去3年程度 |
| 7.固定資産台帳登録事項証明書 | |
| 8.下請工事人の証明書 | 所有者が建設業者の場合 |
上記資料が3点以上そろわない場合、次の資料で補足します。
2.その他の所有権を証するに足りる書面
| 1.火災保険加入証明書 | |
| 2.隣接所有者の証明書 | 印鑑証明書付 |
| 3.借家人の証明書 | 印鑑証明書付 |
| 4.土地の所有者の証明書 | 借地の場合 |
| 5.土地賃貸借証明書 | 借地の場合 |
| 6.遺産分割協議書・遺言書 | 相続の場合 |
| 7.ガス・水道料金領収書 | |
| 8.その他所有権を証するもの | |
| 9.そ上申書 | 印鑑証明書付 |
以上はすべて原本で提出してもらい、法務局で原本還付の手続きの後返却されます。
2.住所証明書
住民票、法人の場合は資格証明書
3.代理権限証書
委任状(注3)、法人の場合は更に資格証明書
