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企業買収・売却する際は不動産鑑定をしてからが吉

● アベノミクスと企業売却の因果関係 アベノミクス効果が一時的なものではなく、
長期的な好景気になるという期待が確信に変わりつつあります。
一方で、平成27年の1月から相続税が改正され、
事業承継にも税負担の心配があります。
景気の好循環の中で企業買収を考える投資家がいる一方で、
後継者不足や事業承継の難しさから、会社の売却を考える人もいます。
企業買収と会社の売却では、会社の価値をどう評価するかがポイントです。
企業価値には、すべての資産からすべての負債を差し引いた
純資産価格に注目する純資産方式、収益力に着目した収益還元方式や
ディスカウントキャッシュフロー方式(略してDCF法)など、いくつかの方法があります。
実際に企業価値を評価する場合は、その中のどれか一つを採用するというよりも、
複数の視点で評価したものをミックスして、総合的に査定をします。

● 不動産鑑定評価が企業買収・売却時に必須な理由 いくつある評価方式の一つ、純資産方式は、
会社の全財産ですべての負債を清算していくら残るか、
現時点で会社を整理した時の分配額を計算するもので、解散価値とも言います。
会社の純資産が、企業買収にかかる費用の総額を上回るなら、
会社ごと買収して、営業を継続しなくても、資産と負債を整理するだけで利益が出ます。
会社を買収する場合、会社の純資産に、収益力に対する期待を加味して投資金額を決定します。
そこで、会社の純資産を知る必要がありますが、
財務諸表に載っている金額は、必ずしも時価とは限りません。
不動産や有価証券の価値は、時価を査定する必要があります。
買収のための企業価値の算定のことをデュー・デリジェンス(日本語では資産査定、
専門家の間では、デュー・デリと略称することもあります)といい、
不動産鑑定評価は不可欠です。
財務諸表に載っている不動産の金額は、取得した価格を基にしているため、
時価の変動を織り込んでいません。
会社の価値を正しく知るためには、不動産鑑定を含めて、
所有する資産の時価を査定する必要があります。