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不動産鑑定評価と固定資産税評価の違い

● 不動産鑑定評価とは 不動産の取引には、当事者間の動機や力関係が大きく影響するため、
適正な価格を割り出すことが難しいものです。
そこで法律では不動産鑑定評価基準を設け、
不動産鑑定士が評価鑑定するときの統一的な目安にしています。
不動産鑑定評価は、「正常価格」を計算することを目的とします。
正常価格とは、誰もが自由に売買できる状態で、完全な情報を有すると仮定したとき、
合理的で適正と考えられる価格という意味です。
もちろんこれは現実的ではないので、理論上のみの話になります。
また不動産鑑定評価には、原価法・取引事例比較法・収益還元法などの方法があります。
原価法は再調達原価を経年により減額するもので、中古住宅の評価などに用いられます。
取引事例比較法は、似た物件のデータを多数集めて類推する方法です。
収益還元法は、将来予想される利益から逆算するもので、主に収益物件で用いられます。

● 固定資産税評価とは 不動産鑑定評価が、主として公正な取引のために行なわれるのに対し、
固定資産税評価は課税を目的として行なわれます。
固定資産税を評価するのは市町村で、3年に1度、評価替えが実施されます。
固定資産税評価の基準となるのは、国が定めた「固定資産評価基準」です。
これは原則として公示価格の70%と定められています。
公示価格は国土交通省が毎年公示する標準的な価格で、
土地については2人以上の不動産鑑定士が正常価格で評価し、
建物については再建築費から経年劣化分を減額して求めます。
固定資産税評価額は固定資産課税台帳に登録されており、
市町村の税務課へ行けば閲覧することができます。
また評価額に不満があるときは、毎年一定期間に限って審査を申し出ることができます。
固定資産税評価額は固定資産税のほかに、
登録免許税や不動産取得税の基準としても使われます。
ただし相続税や贈与税は路線価を基準に計算されるので、注意が必要です。