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不動産鑑定評価の格差率について

● 地価形成要因とは 不動産鑑定評価の中でも重要な位置を占めるのが、土地評価です。
土地は二つとして同じものがないため、
公正に評価するには多種多様な地価形成要因を考慮しなければなりません。
地価形成要因とは、街路条件、画地条件、交通接近条件、環境条件、行政的条件などです。
一般に狭い道路より広い道路に面しているほうが便利ですし、
舗装道路のほうが砂利道よりも好まれます。
角地を好む人は多いため、評価が高くなりますが、
袋地や道路と高低差のある土地、極端に間口が狭かったり道路に隣接していない土地、
不整形な土地や高圧線の下の土地などは、評価が低くなります。
駅や商業施設・公共施設に近い土地は人気ですが、
いわゆる迷惑施設が近くにあると価格は下がります。
日照や通風や地盤の固さ、インフラの整備状況や開発規制の有無なども重要です。
以上のような土地評価基準を、プラスとマイナスの数値で表したものが格差率で、
不動産鑑定評価額を計算するときに用いられます。

● 格差率の使用方法 不動産鑑定評価においては、まず標準画地の設定と評価を行なうのが一般的です。
標準画地とは地勢や用途から見て、その周辺で最も標準的と認められる土地のことです。
標準画地を定めたら、取引事例比較法や原価法・収益還元法を用いて評価額を出します。
次に評価する個別の土地について、標準画地とは異なる点に着目し、
格差率を掛けて評価額を算定します。
たとえば不整地ならばマイナス5%、角地ならばプラス10%などのように、
格差率を定めた表があります。
また不整地で角地など複数の条件が重なっているときは、
状況に応じて各々を加算または乗算しなければなりません。
これと似た方法は相続税の申告で、路線価から土地の価格を算出する際にも用いられます。
格差率は住宅地か商業地かによっても異なりますし、
マンションか一戸建て住宅かなど、使用方法によっても変わる可能性があります。
一律に処理すればよいわけではなく、鑑定士の経験が問われるところです。