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不動産鑑定評価の還元利回りとは

● 不動産鑑定評価基準 不動産鑑定士が土地や建物の鑑定を行なうときは、
法律に基づいた不動産鑑定評価基準を根拠にしなければなりません。
不動産鑑定評価では、通常は3つの方法が併用されます。
原価法は、現時点における不動産の再調達原価から、
経年による減価を行なって算出する方法です。
取引事例比較法は、類似した多数の不動産の取引事例から推定する方法です。
そして収益還元法は、不動産が生み出す将来の収益合計から現在の価値を求める方法です。
この方法で求めた評価額は不動産の収益性を基準にしていますから、
投資家にとっては最も重要な数字といえます。
収益還元法で評価額を算出するとき、必要になるのが還元利回りです。
還元利回りはキャップレートとも呼ばれ、他の金融商品の利回りとも影響しあっています。
収益還元法によれば不動産の価格は、純収益÷還元利回りで求められます。
純収益は、家賃収入の総額から諸経費を差し引いた残りの金額です。

● 還元利回りの求めかた 逆に言えば、還元利回りは純収益÷不動産価格で求められますが、
それでは堂々巡りになってしまいます。
還元利回りを求めるには、類似した物件の取引事例を参考にする方法がよく用いられます。
こうした数字は不動産関係のサイトや広告などで調べることができます。
また標準的な利回りのデータは、一部の企業などでも公表しています。
ただし経費などを除外しない表面利回りで掲載されている場合は、
実質利回りに換算しなければなりません。
投資家の立場に重点を置くならば、借入金と自己資金の還元利回りから、
加重平均して算出する方法が用いられます。
また借入金返済カバー率をベースにして、借入金が返済できない事態に陥らないように、
購入できる不動産の額を決定する方法もあります。
ほかにも不動産鑑定評価基準で認められた方法は何種類もありますが、
適切な方法は評価の目的によっても異なるので、
豊富な経験と詳細なデータに基づいて行なうのが望ましいでしょう。