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相続の不動産鑑定評価に大きく影響する広大地意見書

● 土地の時価とは? 相続税法第22条によると「相続、遺贈または贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価による」とされています。
不動産を相続した場合、相続が発生した時点での不動産の時価を基礎に相続税が算出されるということになります。
つまり、不動産を相続した場合は、この『時価』をいかにして下げるかによって、相続税の金額が大きく異なってくることになります。

● 広大地判定による節税 広大地とは、その地域の標準的画地と比べて著しく地積が広大で、戸建分譲地としての利用が最適であり、開発を行なう場合に道路や公園などの公共施設の用地負担が必要な土地を指します。
広大地判定を受けた場合は土地の時価が最大60%も減額されるので、数千万円単位の節税も可能になります。
ただし、市街化地域で500u以上の地積が必要、戸建分譲地が最適であることからマンション適地と評価される場合は該当しない、道路開発の必要があることから敷地内に路地上部分がある旗竿地は該当しないなど、判定を受けるには難しい条件が示されています。

● 広大地意見書が不動産鑑定評価に与える影響 広大地判定によって最大60%の節税が見込めますが、判定の条件が厳しく、広大地判定を得ることができそうな土地を相続しても税務署に否認されることをおそれて申請しないケースが多々見受けられます。
そこで登場するのが『広大地意見書』です。
広大地意見書は、不動産鑑定士が鑑定した結果、この土地は広大地に該当すると結論付けた証明になります。
実はこの広大地意見書は、広大地の根拠となる『財産評価基本通達』や国税に関する法律には根拠がない書類で、広大地判定の申請に必要な書類ともされていません。
しかし、不動産鑑定士が作成した広大地意見書が広大地判定の申請書類とともに提出されれば、広大地意見書の内容を参考に判定の適用可否が決定されることが慣行として定着しています。
広大地意見書の有無によって、対象となる土地は広大地であるという不動産鑑定評価を得ることになり時価が下がって固定資産税も減額されることから、広大地判定を得られるかどうかは、広大地意見書の存在が大きく影響するといえます。 広大地判定を受ける見込みがある土地を相続する場合は、まず不動産鑑定士に相談し、広大地意見書の作成が可能かどうかを見きわめて判断すると良いでしょう。