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相続時の不動産鑑定評価書と簡易鑑定の違い

● 不動産鑑定評価書と簡易鑑定の違い 不動産鑑定評価書と簡易鑑定の違い
不動産鑑定評価書と簡易鑑定にはどのような違いがあるのでしょうか。専門的な分野になりますので、これについて明確にわかるという人は少ないと思います。
ざっくりとどのように違うのかということだけでも知っておけば、どちらを依頼するのが良いのか参考にできると思います。
まず、当たり前ですが価格が違います。簡易鑑定の場合のほうが、不動産鑑定評価書に比べて参考にする資料が減るため、どうしてもその精度は劣るものとなります。
そのため不動産鑑定にかかる手間が減り、料金は簡易鑑定のほうが安いものとなります。
次に、内容にどのような違いがあるのかということですが、表現する評価書の中身が違ってきます。
また、評価手法についても、大事な手法を中心に適用します。
例えばマンションの1室を鑑定する際、不動産鑑定評価書では、取引事例比較法、収益還元法、原価法を適用しますが、簡易鑑定の場合は原価法を採用しません。
原価法というのは、一棟全体の建物・土地価格を求め、効用差に基づく配分率を適用して専有部分の価格を求める方法のことです。
これを採用しない理由として、不動産鑑定評価書と簡易鑑定は、必要な場面、相手によって使い分ける事ができるというものがあります。

● 不動産鑑定評価書と簡易鑑定を使う場面について 不動産鑑定評価書と簡易鑑定を使う場面について
不動産鑑定評価書と簡易鑑定のどちらを依頼するのが良いのかというケースですが、説得する誰かがいるかどうかという点が重要になります。
不動産鑑定評価書が必要となるケースは、利害関係がある人や税務署、公共団体等の公的機関、裁判所などに対して提出する必要がある場合です。
この場合、簡易鑑定ではその信憑性を疑われてしまうこともあるため、フォーマルな鑑定評価書が必要となります。
逆に、自分や家族だけの参考資料にしたい場合や、会社内での内部資料にとどまって、将来的に誰かに提出する必要がないときは、簡易鑑定のほうが安く済むため有用です。
このように、相続の際に家族内で参考にするだけというのであれば簡易鑑定を、外部の人が関わったり、裁判が必要になったりした場合は不動産鑑定評価書をというように使い分けて依頼しましょう。 もちろん、どちらにしたらいいのかわからない場合は不動産鑑定士に相談しましょう。