戸建住宅の事例

(1)建築基準法上の道路に接していない欠陥不動産

建築物の敷地は、道路に2m以上接していなければなりません(接道義務)。この場合の道路は外形上道路であっても駄目で、建築基準法上の道路でなければなりません。

  • 4m舗装されている道路に面している土地、ということだったが、調査の結果有蓋の水路であった。このため無接道となり、建築不可の土地。
  • 家が建っている袋地状の土地であるが間口が1.8mであるため、(再)建築不可の土地。
  • 位置指定道路(建築基準法上の道路)ではないが、但書き道路(建築基準法第43条)となっており(再)建築可能と言われた。
    実際は平成11年5月に法律改正され、改めて建築審査会の許可が必要となった。
  • 4m未満の道路であるが建築基準法42条2項道路なので建築可能な土地である。しかしセットバックが必要となり、希望の建築床面積がとれなかった。
  • 計画道路」が敷地内を通っており、階数の制限があった。道路建設も長期間進まないので買収されず、大規模な修繕が制限されるので、傷みだけが進行していく。
  • 購入しようとする土地と道路の間に他人所有の土地が介在しているケース。一見何の問題もなく道路に接しているように見える土地でしたが、道路に接する部分に僅かの幅で帯状に他人所有の土地が介在していました。これは過去に分譲業者が土地の一部を分譲しなかったり、道路との境界が決まらなかった為などの理由で苦肉の策で自社名義のまま分譲した可能性があります。この土地は他人の土地を日常的にまたぐことになります。このような「またぎ地」を買うと、将来どんなトラブルが発生するかわかりません。

(2)境界が未確定

  • 売り主の提示した「現況測量図」で土地を買ったが、隣地と境界が決まっていなかったので紛争となった。測量図には「確定測量図」と「現況測量図」があります。確定測量図にも隣接民有地所有者全員(民民)と立ち会って境界が合意され、合意文書を作成したもの、さらに公道などの道路管理者(官民)との境界が合意されたものがあります。この場合の測量図は境界が確定されているので紛争は生じないでしょう。これに対して現況測量図は必ずしも隣地所有者と立ち会ってはいません。測量や土地分筆登記申請は、土地家屋調査士の業務です。
  • 土地の位置を確定するものに「公図」というものが法務局に備えられていて、誰でも写しをとることができます。しかし、その成り立ちから必ずしも正確ではないので目安と考えた方が良いでしょう。  一方、不動産登記法第17条の地図がある所があります。これは国土調査法に基づいて測量したので、正確です。ところが17条の地図でも中には地番がいくつも併記されていて、特定の地番が区画されていない場合があります。これは境界に紛争があるか、何らかの理由で立ち会う相手がいなかった等のため、境界未確定の土地です。  このような土地は事実上、分筆登記や地目変更ができませんし、売る際にも境界を明示できないので瑕疵物件といえます。

(3)担保不適格物件

担保に取った土地に未登記建物があったが、大きな土地だったので気が付かなかった。
競売手続に入ったら第3者の名義ですでに登記されており、債権を回収することができなかった。
なお、建物表示登記も土地家屋調査士の仕事です。
当社のスタッフには土地家屋調査士もおり、未登記建物の登記などをサポートしています。

マンションの事例

  • 「子供の学校が近くて便利」と、学校のすぐ近くにマンションを買った。
    ところが昼休みの運動場の喚声やマイクの音・チャイムが終日続き、おまけに放課後のクラブ活動や運動会の練習音に悩むことになった。
  • 買ったマンションの前方が空き地で、眺めが良いと喜んでいたが、そこにマンションが建って困った。
  • 夜勤があるAさんが新築マンションを買いました。ところが日中寝ていると上階の子供が飛び跳ねる音や隣家の音に悩まされるようになりました。原因は床スラブや戸境壁が薄目の構造だったのです。
    スラブや戸境壁の厚みは18〜20cm、できれば20cm以上のものを選びたいものです。
  • 新築マンションを購入して間もなく、和室の窓際のクロスにうっすらと青い斑点が浮かび上がっているのを発見しました。クロスをはがしてみると一面の青カビが生えています。原因は断熱工事不足により、結露が生じたためカビが生えたのです。
  • 1階に店舗があるマンションを購入したところ、車で外出するといつも店舗の客に車を入れられてしまうマンション。駐車場不足は違法駐車の原因になります。
  • 自転車置き場の台数は確保されているのですが、駐輪場が立体の機械式になっています。このため子供や女性が2階部分に置くの不便がり、玄関やエントランス部分に駐輪されてしまう。
  • 築年数を経た古いマンションですが、建設当初に行政庁に建築確認面積として申請した土地に一部を分筆し、駐車場として分譲業者が所有権を残しました。このため、将来の建替えに際しては規模が縮小されてしまうほか、資産価値が低くなったり、公的融資が受けられなくなってしまうおそれもあります。