不動産を売って「譲渡所得(譲渡益)」が生じた場合は、その譲渡益に対して所得税と住民税が課されます。これは不動産を売って得られた利益(=譲渡所得)に対してかかる税です。
この不動産の譲渡所得税は、収入金額から取得費及び譲渡費用を控除し、さらに一定の要件に該当する場合には特別控除額を控除して「譲渡所得」を求め、これに所有期間に応じた税率を乗じて計算されます。
取得費については実際の取得費を用いるのがあくまで原則です。閉鎖登記簿などで過去の購入先が確認できる場合は一度連絡を取っておくことは最低限必要です。
ちなみに建物の取得費が分からない時には、建物の標準的な建築価額表(国税庁)を使うことが一般的です。
不動産譲渡所得税の計算式
譲渡所得税 ={収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除額}×税率
ところが、現実には相続や時の経過と共に取得時のいきさつもあったりして取得価額がわからなくなっていることが多いものです。そんな時、税務上は売却価額の5%相当額を取得費と見なして計算していいことになっています。ただしこの5%基準、実は個人の所得に対する課税方法を定めた本法である所得税法には何らの規定もありません。租税特別措置法という特別法に規定されているのです。しかも、そこには『昭和27年12月31日以前から引き続き所有している場合』となっていて、それ以降の取得については法律の規定はありません。確かに戦後数年経過後の昭和28年より前なら、とりあえず5%の原価でも弊害はないことも多いでしょう。
それでは、昭和28年以降の取得の場合はどうなるのでしょう。前述の租税特別措置法という法律そのものではなく、それに関わる“通達”という、言ってみれば税務署内部の社内規定の様なものに、次のように謳われています。全くその金額が不明な場合、昭和28年以降であっても5%基準を適用してもよい、と。これが広く世間でも浸透し、取得時期にかかわらず不明の場合は5%と信じられているのです。
昭和28年以降と一口に言っても、例えば平成初期のバブルの時代に取得した不動産のケースで考えてみてください。本人が契約し取得したのであれば、契約書から領収証まで保管場所も内容もわかっているでしょう。それはご本人だからこその話です。相続で不動産を取得した場合、相続人にその当時の状況がわかっていなければ、取得費が不明であっても不思議はありません。それがバブル時の取得であれば、昨今の売却価額の5%程度であるはずがありません。売却損が出ても当然なのに、諸経費を無視すれば逆に売却額の95%に課税されてしまうのです。
しかし、売買契約書がなくて取得費が不明でも取得費を合理的に算定することが認められているのです!
不動産業者や税理士の言われるままですと、あなたは売買価格の5%で泣き寝入りです。
ここで弊社では、購入時における取得価格を合理的に求める方法を提案します。
それが「不動産鑑定評価書」です。
なお、確定申告時に概算取得費5%で申告を行い、後日、更正の請求で還付を行うことは、ほぼ不可能ですので、不動産鑑定評価書による申告が可能となるのは、売却した翌年の確定申告時のみになるので、ご注意下さい。
概算取得費による場合(5%) | 不動産鑑定評価書による場合 | 節税額 | ||
売却価格 | 5000万円 | (5%) | 5000万円 | |
購入価格 | 250万円 | 4000万円 | (評価額) | |
長期税率 | 20.32% | 20.32% | ||
概算税額 | 965万円 | 203万円 | 762万円 |
ただし、「不動産鑑定評価書」による取得費が有効となるのは、次のいずれにも該当する場合に限られます。
1.所得税の確定申告又は準確定申告における当初申告で利用する場合
2.取得価格を証する資料が存在しないこと
3.昭和30年以降(物件によっては昭和50年以降)に取得した不動産であること
4.買換資産の特例、交換の特例などの特例を利用していないこと
5.購入先が親族や知人、同族会社等の特殊関係者でないこと
6.取得した土地の地目が原則として「宅地」であること
※確定申告期限直前では対応しきれない場合がありますので、お早めにご依頼下さい。
※不動産鑑定評価書を作成しても、税務署に100%認められる保証はありません。
不動産鑑定評価書の作成料金は概ね40万円〜(税別)となりますが、あらかじめお見積書を作成いたします。
報酬総額 = 基本報酬 + 加算報酬
追加報酬:取得時期、評価額、取得原因、依頼時期等によって加算報酬が発生することがあります。