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相続の際の不動産鑑定評価に関わる個別的要因の価格への影響

● 不動産価格を形成する要因 不動産の価格を形成する要因は、
「不動産の効用及び相対的稀少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因をいう」
と定義されています。
要因は、一般的要因、地域要因それに個別的要因に分けられます。
不動産価格の形成過程で言うと、一般的要因と地域要因によって形成された価格水準(このあたりなら相場はこの程度)に対して、
プラスマイナスの要因を持つ個別的要因が不動産価格の最後のキメ手になります。
最近は個別的要因が不動産価格の形成に大きな影響を与えるようになってきています。
バブル期においては、土地価格はその地域の相場だけで決まっていき、個別的要因のマイナス部分は置き去りにされてきました。
しかし、バブル崩壊後の今は、不動産本来の実力を基本に取引しなければならないという風潮に変わってきました。
相続した土地について不動産鑑定評価を専門家に依頼する場合でも、
その土地がどんな個別的要因を有しているか知っておく必要があると思われます。

● 個別的要因とは何か 個別的要因は、大きく分けて「土地」「建物」「建物及びその敷地」それぞれに分けられます。
土地に関する個別的要因は「宅地」「農地」「林地」等に分類され、
「宅地」はさらに「住宅地」「商業地」「工業地」に細分されます。
ここでは、「宅地」の個別的要因について少し詳しく見てみましょう。
「宅地」に共通して挙げられる要因は、相続した土地であれば、
相続時の地質や地盤、間口や形状、接面街路との関係といったものから、
上下水道、ガスなどのライフラインや情報通信基盤が利用できる状態かどうかなど様々な事柄が挙げられます。
また、宅地の中でも特に「住宅地」独自の個別益要因としては、住宅としての価値が重要視されるようで、
日照、通風、乾湿といった環境や、交通施設や商業施設、公共施設などからどのくらい離れているか、
近隣に汚水処理場などの嫌悪施設がないかなどが個別的要因として挙げられます。
建物と建物およびその敷地においても、相続した土地などの個別的要因は土地単体で考えるのではなく、
土地・建物の複合体として不動産を見るようになってきていますので注意が必要です。