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相続による宅地見込地の不動産鑑定評価基準について

● 農地から宅地地域へ変換しつつある地域内にある土地について 農地から宅地地域へ変換しつつある地域内にある土地について

不動産を相続する際に、相続人は不動産鑑定評価を依頼することになります。
これは、相続税を正しく申告するために必要なことですが、それ以外にも不動産鑑定評価が必要になることがあります。
例えば、農地から宅地地域へ変換しつつある地域内にある土地です。
これは、宅地見込地として不動産鑑定評価をします。
純農地や中間農地は倍率方式が用いられますが、市街化空域内にある市街地周辺農地や転用が許可されている市街地の農地の市街地農地は、倍率方式を用いません。
宅地見込地の不動産鑑定評価基準も規定されているため、知っておきましょう。
宅地見込地の評価額は、比準価格、宅地見込地について転換後、造成後の更地を想定し、そこから通常の造成費用や発注する人が直接負担しなければならない通常の付帯費用を控除します。
さらに、その評価額を熟成度に応じて修正した価格を関連づけて判定していきます。
専門用語が多くなり知識がない人はわかりにくいですが、比準価格は不動産鑑定評価の対象となる土地と似た宅地可能な農地の事例を元に、補正や比較を行って算出するのが一般的です。


● 異なる点とは 
異なる点とは

宅地見込地の評価基準は、財産評価基本通達の方式と同じような印象を受けますが、異なる点があります。
例えば、控除できる造成費は、現実の造成費よりも割安となることや、評価通達では造成費以外の事業で得た利益、金利などの費用は考慮されないという点です。
また、評価通達では市場性も考慮されません。
市街地山林は土地が広い場合が多く、取引金額が多額になり市場性の減価が考慮されますが、評価通達は単価の評価となるため購入者が限定されるという市場性が考慮されないのです。
これらにより、広大地評価が適用できることになっていますが、それが認められるためにも宅地開発が適切であるという証明が必要になります。
その証明には不動産鑑定評価が役立ちます。
この評価基準を守り、適切に算出できるのは資格を持った専門家だけです。
一般業者では専門的な知識や経験がないため、算出することができません。
依頼先を間違えないように注意しましょう。