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相続の際、不動産鑑定評価を左右する地目

● 不動産鑑定評価は地目で決まる 土地を相続した時に支払う相続税の金額は、相続した土地の価値によって決まります。
相続税の金額を計算する時の『土地の評価額』は、実勢価格の約7割から8割程度になってしまいます。
この『土地の評価額』は、土地の『地目』によって単位や評価方法が異なります。
地目とは土地の種類のこと。
登記簿や固定資産税の課税証明書に記載されています。
土地の種類を宅地、田、畑、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地、雑種地の9種類に分類しており、土地評価ではこれらを区分して評価することになります。
土地の単位は、田畑などの農地は「1枚」、山林や原野などは「1筆」などとなり、評価方法は地目に応じて『路線価方式』『倍率方式』『比準方式』に分かれます。
地目に応じて評価方法が異なるので、同じ広さの土地を相続しても評価方法によっては土地の評価額が異なることになります。

● 地目が不動産鑑定評価に与える影響 たとえば、登記上は農地になっている市街化周辺の土地を相続したとします。
実はこの農地、何年も前から農業はしておらず、雑草が生え放題で耕作できる状態に戻すことが難しい状態であったとすれば、原野として評価することになります。
そうすると、登記に従えば市街化周辺農地になるので比準方式で評価しますが、土地の現況から考えると原野なので倍率方式で評価することになります。
評価方法が異なると相続税額の計算が異なってくるので、現況とは異なる土地のために高い相続税を支払うことにもなりかねません。
このような事態にならないために、相続時は現況の調査を踏まえた正しい不動産鑑定評価が必要になります。
不動産鑑定評価は、土地の現況調査や周辺の事情、実際の土地の形状(不整形、道路に接していない、間口が狭い、一部が私道や通路になっているなど)から、正しい土地の評価額を導き出す作業です。
登記簿のみに頼った計算では地目と面積だけで土地の評価額が決まってしまいますが、現況から正しい地目を決定し、同じ形状や条件のものは二つとして存在しない土地の評価を正しくはじき出すことで、相続税の支出をカットすることができます。
土地を相続する際には、ぜひ不動産鑑定評価を活用してください。