HOME > コラム・不動産鑑定評価をもっと良く知るために > 相続に関係する不動産鑑定評価 > 相続で知っておきたい不動産鑑定評価書と意見書の違いとは
● 2つの違いを知っておこう
不動産鑑定評価書と意見書の違いがわからない人も多いのではないでしょうか。
不動産を相続する際に建物や土地の評価を行い、真の価値を算出してから相続税の納税額が決まってきますが、何度も頻繁に相続することはないため、専門的な知識がない人が多いはずです。
しかし、最低限のことを知っておけば、やるべきことがわかり、手続きもスムーズに進みます。
まず、不動産鑑定評価と意見書がどのようなものか知っておきましょう。
不動産鑑定評価書は国家資格を持っている専門家によって作成される書類のことです。
評価額と、それを算出した要因、理由などが記載されており、これらの内容は法律に基づいた記載義務事項に則っているため、公的機関での証明や証拠として扱うことができます。
専門家によって用いる算出方法が違い、評価額が依頼先によって変動することはありますが、記載内容に不正や不備があると作成した専門家も処罰されることになっているため、信頼性と公平性が確保されている書類です。
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意見書は公的機関の証明にはならない
意見書は鑑定士が作成する不動産価値の評価を記載した書類です。
コストを抑えながら評価額を知ることができますが、評価書と比較すると調査範囲が狭く、記載項目が少ないと言った違いがあります。
また、記載項目や記載方法についての制限がありません。
さらに、不正があったとしても意見書には法的な義務がないため、作成者に罰則が与えられることもありません。
そのため、公的機関での証明や証拠にすることはできず、裁判や税務署に提出する書類としては不十分です。
正確性や信頼性が劣りますが、売却価格の相場を知りたい時などに作成を依頼することが多いです。
内部資料としてや、売却するための市場調査が目的の時は意見書で問題ありませんが、相続時には不動産鑑定評価書の作成を専門家に依頼してください。
意見書の作成には特別な資格は必要ありませんが、価格等調査ガイドラインでは不動産鑑定士の独占業務だという記載があるため、専門家に依頼する必要があります。
どちらにしても専門家に依頼することになるため、信頼できる鑑定士を探しましょう。