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相続での無償返還届出書を提出している土地の不動産鑑定評価とは

● 無償返還届出書とは 無償返還届出書とは

通常、借主は貸主から借地権を受け取ったものとして多額の税金を支払わなければなりません。
無償で借りると借地権の認定課税が発生し、これを避けるためには借主は土地価格の6%の地代を貸主に支払わなければならないという決まりがあります。
個人の資産である土地を会社に貸す時にも高額な地代が発生することになりますが、それは理屈に合わないという意見があったため、昭和55年に土地の無償返還届出書という制度が作られたのです。
この書類を税務署に提出すると、土地を借りている会社が将来貸主に無償で返還するという意思表示になり、高額な地代を支払わなくても認定課税を受けずに済むということになりました。
しかし、これは個人同士では使えない制度です。
貸主もしくは借主、またはどちらも法人である場合のみ適用されます。
個人同士の場合には使用貸借通達によって認定課税を避けることが可能です。

● 相続するときは? 
相続するときは?

無償返還届出書を提出している土地の相続税評価を行うこともあるでしょう。
使用貸借契約を締結し、無償返還届出書を税務署に提出していると、借地権を認識しないということになり、不動産鑑定評価は自用地評価額になります。
また、賃貸借契約を結んでいると自用地評価×0.8で算出します。
注意点は使用賃借契約だと判断されることがあるという点です。
相続が始まった時点で固定資産税相当額の2、3倍以上の金額の地代を設定しなければなりません。
それをしなければ、賃貸借契約を締結していても認められないのです。
2、3倍以上の地代を設定した後に賃貸借契約を締結し、無償返還届出書を提出しましょう。
また、相続が発生することを見込んで、開始直前に意図的に契約を締結した場合は課税庁から指摘が入る恐れがあるため注意してください。
このように、無償返還届出書を提出した土地の不動産鑑定評価時には注意しなければならないこともあります。
不動産鑑定評価士に相談しながら手続きをしてみてはいかがでしょうか。