HOME > コラム・不動産鑑定評価をもっと良く知るために > 相続に関係する不動産鑑定評価 > 相続による簡易鑑定と不動産鑑定評価との違いとは

相続による簡易鑑定と不動産鑑定評価との違いとは

● 似ているけど違う鑑定 似ているけど違う鑑定

土地や建物を相続する際に、対象となる不動産の真の価値を表示する不動産鑑定評価が用いられます。
しかし、不動産鑑定評価を依頼するときに、簡易鑑定という言葉も聞くことがあるかもしれません。
どちらも鑑定という言葉が使われているため、不動産を鑑定するということがわかりますが、具体的な違いがわからない人もいるでしょう。
最近では簡易鑑定という言葉は使われなくなりましたが、以前では不動産鑑定評価の簡易的なものを表していました。
不動産鑑定評価は資格を持った専門家が法律、基準にしたがって行うものであるため、法廷でも効力を発揮する書類を発行することができます。
しかし、依頼費も高額です。
簡易的で低料金、スピーディーに出せる書類が欲しいというニーズがあったため、簡易鑑定ができたのです。
分析や記述、評価手法の一部が省略されたもので、意見書や調査報告書などというタイトルが付けられていました。


● 相続時には本鑑定を依頼しよう 
相続時には本鑑定を依頼しよう

簡易鑑定は基準や制約がないため、業者によって書類の記載内容にばらつきがありました。
そこで、監督官庁である国土交通省から価格等調査ガイドラインが平成22年1月に施工されたのです。
宅建業者の査定書は法律に違反するものが多く、記載内容も適当ではないものがあります。
相応しくない査定書を受け取った依頼者からのクレームは、監督官庁である国土交通省に届くため、ガイドラインを整備し、媒介契約を前提としない宅建業者の査定書は法律に違反していると表して、鑑定評価の枠組みの中で統制を取ることになりました。
また、ガイドラインには簡易鑑定と本鑑定の2つに整理され、本鑑定というのは本来の不動産鑑定評価です。
簡易的なものは報告書のタイトルに鑑定評価書とすることが禁じられています。
相続時には本鑑定を依頼しましょう。
相続時に問題が発生し、裁判まで発展することがありますが、簡易鑑定は用いることができません。
中には悪徳業者が裁判に強い簡易鑑定と謳っていることもありますが、ガイドラインでは意見書、調査報告書などのタイトルを用いることになっているため、鑑定、評価という言葉は使ってはいけないのです。
このように、この2つには違いがあるため、違いを理解した上で依頼することが大切です。