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相続で市街地農地を分割して取得した場合の不動産鑑定評価方法とは

● 市街地農地について 市街地農地について

市街地農地とは、農地法第4条または第5条に規定する許可を受けた農地、農地市街化区域内にある農地などの条件に該当するものと定義されています。
一般的な市街地農地の価額は宅地比準方式もしくは倍率方式を用いて算出します。
宅地比準方式というのは農地が宅地であるとした場合の1平方メートルあたりの価額から、農地を宅地に転用する場合にかかる1平方メートルあたりの造成費を控除した金額になるため計算式は、(農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額-1平方メートル当たりの造成費の金額)×地積となります。
自身で求めることは困難なため、評価は不動産鑑定士に依頼しましょう。
農地は通常、1枚の農地ごとに不動産鑑定評価をしますが、相続時に分割して取得することもあるのではないでしょうか。
相続人同士で分割して取得した場合には、取得者ごとに不動産鑑定評価することになります。

● 分割しない方が評価は下がることもある 分割しない方が評価は下がることもある

市街地農地の不動産鑑定評価額は宅地として評価し、それから宅地造成費を控除した金額を申告することになるため、控除額が大きいほど評価が低くなり、納税額も少なくなります。
宅地造成費の中でも士止費が最も高く、都道府県などエリアによって異なりますが東京都の場合は擁壁面積1平方メートル当たり50,500円です。
また、分割して相続した場合の士止費は2回分控除することが可能であるため、より評価額を下げることができます。
相続時に市街地農地を分割すると評価額を下げることができますが、他にも下がる方法があります。
それは、広大地として評価することです。
農地は標準的な宅地よりも面積が大きいため、広大地として評価ができる可能性があります。
相続人が分割して取得するよりも、共有名義にして広大地とすると評価額が低くなることもあるため、よく検討した上で決断しなければなりません。
相続人同士で話がまとまらず、揉めることもありますがどちらがお互いにとってメリットがあることなのかをしっかり話し合うことが大切です。
また、広大地として評価すると宅地造成費を控除することができないため注意してください。